はりぼうのほほん日記

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映画、ファッション、グルメが好きな大学4年生!基本日記と、めんどくさがり向けライフハックです。

"やさしく"しないことの優しさ/『凪のお暇』とか。

人にやさしくすることは一般的には素敵なことです。
しかし、どうも”やってはいけない親切”がこの世にはあるらしい。


ゴンという男

突然ですが『凪のお暇』という漫画を読んだことはありますか?
とっても雑に紹介すると、何か頼まれたら断り切れず、嫌われたくないがゆえに周囲の人に無理に合わせる性格の主人公・凪は、普段から会社の人間関係に息苦しさを感じていたのですがある日、社内でのあまりにショックな出来事に呼吸困難を起こして倒れてしまい、その後会社に行けなくなってしまいます。
そんな自分を見つめなおすために会社を辞め、住むところも変え、そんな中出会う周りの人たちとの交流を通じて本来の自分を取り戻していくお話。

凪のお暇(1)(A.L.C・DX)

凪のお暇(1)(A.L.C・DX)

この漫画の中で私にとって印象的だったのが、主人公の凪の隣人で、凪と付き合うことになる(そして最終的には別れる)”ゴン”という人物でした。
なんだか、自分にとても近いものを感じたから。
このゴンという男には”モーセの海割り”という異名がついています。
目の前の人を楽しませ、喜んでもらうためにほしい言葉をかけ、そして”やさしい”行動をとるゴンに撃ち落されてしまった人間の屍の列ができている、と友人に言われたことがきっかけのこの異名。
ようは、ゴンの”目の前にいる人間を楽しませたい”というおもてなしがその相手のゴンへの依存を生む。しかしゴンはひたすら”自分の「今現在(文字通り)」目の前にいる人間に優先的に、その相手が望む行動をとっているだけ”。そのため、その時目の前にいない人間は、約束をドタキャンされたり、付き合ってると思っていたのにほかの女の子と寝られてしまったりする。結果メンヘラ化して死ぬ(精神が)っていうわけです。

適当な優しさはむしろ凶器だ

これを読んだとき、「ああ、なるほどなあ」って思いました。
その時初めて、私は自分の今まで取っていた行動は全くもって”やさしさ”ではないと気付いたのです。
私を好きになってくれて告白してくれた人を袖にできなくて、結局何人とも同時に付き合うようになったこと。
その場の人の気持ちを優先して、”今目の前にいない人”との約束をドタキャンしたこと。
なんの覚悟もないのに、今までの人生で傷ついていた人に喜んでほしくて、守れもしない約束、とびきり甘い言葉をかけたこと。
その時は割と本気でみんなを幸せにしていると信じていたのですが、結局最後に待っていたのはすべて最悪の結末でした。
目先の親切(と、私が思っていたこと)が、結局はその人をひどく傷つけることになってしまった。
適当な優しさは、むしろほかの何よりも人を傷つける凶器だったのです。
……それがわかったところで、染み付いてきたものがすぐに取れるわけもなく、今日も大事な人の気持ちを踏みにじって目の前の人にいい顔をしそうになりました(そして戒めのためにこの記事を書いています)。

世界中のすべての人を幸せにすることなんて、できない

ひとりひとりのできる行動には限りがあるので、すべての人を幸せにすることはおそらく不可能です。
周りのみんなの願いを全部叶えてあげることはできないのです。
例えば、どんなにその人たちを喜ばせてあげたくても、2人以上の人が「(あなたと)付き合いたいけど、別の恋人がいて欲しくない」と思っていた場合、そのうちの誰か1人を選ばざるを得ない。
その場合に目先の、今の例だと「付き合ってほしい」という願いを叶えてあげようとすることはとても残酷で、むしろ願いを叶えてあげない優しさを与える方が、自分のできるなかでは最高の幸せを結果的に与えることに繋がるのです。

わりとこれを気づかなかったりうまくできない人は、愛情が広く浅くで、みんなのことが好きだけど特定の人にのめり込まないDD(誰でも大好き)タイプか、のめり込むとしても熱しやすく冷めやすいタイプの人が多いかなと思います。
私もこの2つの傾向がとても強かった。*1
このタイプの人には結構難易度高いし、気持ちとしてはできればみんなを幸せにしてあげたいものですが、みんなを不幸にするよりはマシと思って一緒に"やさしく"しない勇気を身につけましょう……。*2

*1:今は大切にしてあげたいパートナーがいますが、それでも性向や習慣の部分はなかなか変わってくれない難しさを感じます

*2:最近思うのは、好き嫌いが激しい側から見て厄介な人でも、少数の人を深く愛して大切にしてあげられるなら私のような人間よりずっと立派ですよね。みんなの好きなところを見つけられる力より、1番好きな人を決める力がほしいです