はりぼうのほほん日記

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映画、ファッション、グルメが好きな大学4年生!基本日記と、めんどくさがり向けライフハックです。

就活とスクールカースト、そしてSNS / 映画『何者』を観て

就職活動がうまく行かなすぎて困っています。
どんなに私が面白いだろうとウキウキして考えた話をしても面接は一度も受からない。

*1
某有名新卒求人サイト2社では企業名をクリックしてかなり下までスクロールしないと月収が載っていないから、そもそも受けたいと思う企業が見つからない。*2

就職活動に行き詰まっている私は何か刺激と救いを得るため、就職活動に勤しむ男女の人間模様を描いた映画『何者』を観ました。



"就活"とスクールカースト

映画では皆イケメン美女なので、スクールカーストと言われてもピンとこないかもしれません、が。とりあえず見た目は無視して考えてみてください……。
就活に成功した/失敗した登場人物を見ていくと、なんだか高校のクラスでの強者/弱者と恐ろしいほど一致していて絶望しました。*3

特にウッと来たのは、主人公のルームシェア相手の「コータロー」。本の彼は別物として、映画ではただの、裏では人の悪口三昧のお調子者です。クラスでスクールカースト1位の人気者で、イケてる奴としかつるまない男子って感じ。はっきり言って1番苦手な人間たちでまじトラウマ。
けれど彼はなんだかんだで内定をさらっと掴んでしまうわけで世の中は無情です。

みづき」は大人しくて目立つタイプではないけれど、可愛いし性格も良く、無難なのでクラスのイケてる男子からモテてる女子って感じです。こういう子は大体サッカー部の男子と付き合ってるし、人生の勝ち組路線から一生絶対に外れない。誰とでも分け隔てなく接するし、根がいい子だから嫌いになるわけはないのですが、私は勝手に住む世界の違いを感じて絶望する。彼女たちには一生かけてもなれない。
ちなみに彼女も名の知れている企業に就職を決める。

リカ」は周りからちょっと遠巻きにされていて、イケてる子達から「なんかチョーシに乗ってる」みたいに裏では言われてそうな感じ。成績が良いし、賢いので「私は人とは違う」プライドでなんとか生きている。強気だし刺激すると厄介だからみんな表面上は仲良くしているけれど、おそらくその普段つるんでいる"イケてる"子達に彼女の本当の友達はいない。
不器用なだけで能力は高いだろう子だけど、人間関係に問題がありそうに見えるからか就職活動では落とされまくる。

たかよし」は教室の隅で哲学書読んでいそうな感じ。スクールカーストでは明らかにいけてない側の人間だけど、外の世界に居場所があるからそんなに困ってはいない。プライドはエベレスト。子供っぽく見えるクラスメイトを見下しているし、自分のセンスが1番イケてると思ってるから媚びない。けど実は他人からの言葉をめっっちゃ気にしてるし、自分が臆病で口ばっかりなことも気にしてる(と、思う)。ある種の奇特な人たちとはとても仲良くなったり、モテたりする。一番私に近いから、画面で見ていると辛い気持ちと痛々しさにドキドキする。
最終的にみづきとぶつかったことで感化されて、就活を始める。まあしばらくはうまくいかないと思う。

最後に主人公の「たくと」。
彼はおそらく、『桐島、部活やめるってよ』の主人公と同じ。打ち込んでいるものがあるし私から見たら十分イケてるけど、内向的で少しダサめなのと、華やかな趣味ではないことからクラスでは地味な存在。バカにされたりはそんなにしないけれど、目に止められることも少ないタイプ。*4
本当はいいものをたくさん持っているし、気も使える人なんだけど、いかんせん魅力をうまく伝えられていなくて落ちまくっているのでもったいない。もっとも彼の場合は、演劇で生きていきたいという気持ちが燻っていて、心の中では就職したくなかったかも知れない。

おわかりいただけたでしょうか。就職活動での強い人は結局、高校時代のクラスで強かった人です。わたしからしたらもう終わりみたいな感じですが、霞を食って生きていくわけにはいかないのであともう少しだけ、頑張ります……。

SNSとの付き合い方

話は変わりますが、『何者』ではツイッターが物語にとても重要なアイテムとして使われています。
今の若い人ではほとんどSNSのアカウントを少なくとも1つは持っていますから、それ自体は特に不思議なことではありません。
この"SNS"がとにかく厄介者で、『何者』では就活仲間のSNSを見たことによって必要以上のバイアスが生まれたり、挙げ句の果ては人間関係が壊れたりしていきます。
実際SNSは私たちにとってとても身近なものだけれど、それを完璧に運営するのはとても難しい。
「拓人」も本来はそんなに悪い人間ではないはずなんですが、裏アカウントで嫉妬や鬱屈、ストレスを吐き出してしまい、それをリカに見られたことでもはや絶交レベルの喧嘩に発展します。

SNSは「友達と繋がる」という使用方法、そしてアカウントに鍵をかけない限り人から簡単に検索されてしまうことを考えると本質的にはかなりパブリックなものなはずです。
しかし相手の顔が見えないので繋がっている実感が薄いことと、画面に向かって文章を書き込むという、私的な日記と似た印象を持つ行為から、私たちは簡単に、「ごく私的なもの」だと勘違いしてしまう。*5
私も少々ストレスが溜まりすぎて日頃から苦手としているものに対するヘイトをツイッターに書き込んでしまい、友人たちは比較的それが好きな人が多かったために友人内でプチ炎上したことがあります。
面と向かってなら絶対に言わないことでも、画面を通じてなら言ってしまえる。
有名人が炎上しやすいのも、この性質が関係しているのかなと思います。
パブリックな場所であるにもかかわらず、無意識的には私的な空間に思えてしまうSNSとの付き合い方、友達と絶交する前に少し考えておきたいですね。*6

*1:まあ、おそらく面白くないんだろう。イギリスの離島に閉じ込められかけた話とか、面白いと思うんだけどなあ……

*2:月収って1番大事な部分じゃないですか……なぜ大々的に載せない。私のように、目指しているものが他にあるから残業が少ないほうがいいなという人も、むしろバリバリ働いて稼いで若い男にモテたいみたいな『SATC』的なキラキラ女子も、まず見るところは月収とボーナスのはず。

*3:高校時代は私の暗黒時代です。中学もひどかったけど高校は本当に居場所のなさマックスだった。大学入ってからは人生サイコーだから、いま学生の人は悲観せずに適当にボーッとして日々を過ごしましょう

*4:朝井さんって、著者近影みてる限りは明らかにキラキラ系なのに、拓人や涼也みたいな地味だけど光るものを実は持っている子に寄り添うのが上手い。昔はイマドキの作家だ!売れてる!って勝手に敬遠していたけど、今は大好き。

*5:ツイッターの"つぶやく"って言い回しはすごく言いえて妙ですよね。皆、1人の部屋で独り言をつぶやいているつもりでいますがしかし実際は、パーティー会場でマイクを使って叫んでるくらいの人数に届いてしまうんですよね……。

*6:私的な空間に見えるから、そこで気持ちを吐き出せないことをストレスに感じる人は結構多くて、拓人のように裏アカウントを作る人も多いですね。私も昔持っていましたが、どんなに酷いことでも、自分のノートにではなくてインターネットの海に瓶に詰めて流してしまうのは、どうしてなんでしょう。