はりぼうのほほん日記

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映画、ファッション、グルメが好きな大学4年生!基本日記と、めんどくさがり向けライフハックです。

私たちの信じているものは結局「仮説」でしかない/『ビハインド・ザ・カーブ』の感想

あなたは、地球が球形だと思いますか?
それとも、平面だと思いますか?
Netflix『ビハインド・ザ・アース』は、「地球が平面だと信じているひとたち」のコミュニティに密着し、彼らの姿を描いたドキュメンタリー作品です。


世の中の思想、主張はなんだってカルトになり得る

「地球平面説」を取る人たちは、外見や生活は普通の人と何も変わりません。
違うのは、「地球が平面だと信じていること」だけ。
現代科学に疑いの目を向けているだけ。
しかし、一般的な考え方と違う考えを支持している人たちは、基本的に周りから奇異の目で見られがちです。
別に「男子もメイクするべき」*1くらいだったら大した話ではないですし、日常的に生活をしていて論争になるということはない。
しかしその内容がたとえばマクロビオティックとか西洋医学の全排除とか*2、右翼過激派とか日本における宗教団体とか、地球平面説をとる人々とかになると、一般的な思想と違うからと距離を置かれるだけではなく、トンデモスピリチュアル的だし周りの人を巻き込もうとしまくって迷惑をかけることが多いしで結果的に「悪」というイメージがついたり、世界と孤立しがちです。
そうしてどんどん"カルト的"になっていく。
たた、この人たちも悪意があってそうしているわけではなくて、漫画『凪のお暇』でも幸せになれる指輪を主人公に売りつけようとする女の子が出てきますが、純粋にとても素敵で素晴らしいと思ったから周りに広めたいというただそれだけなんですよね……。
興味ないと言っているのにまるでそれを知らないのは罪なのかというほど執拗に自分の好きなものを勧めてくるやばい人とほぼ同じなんですが、その主張が反論、反発、怒りを呼びやすいせいで揉め事になり、さらにそれなりの数同じく強固なそれについての考えを持っている人がいるもんだから、社会と断絶されたコミュニティになる。
今現在カルトとされていないものでも、"心から信じている何かがあり、それがあまりに一般的な考えとかけ離れているとみなされていて、そしてその考えを素晴らしいからみんなにも伝えたい"と思った時点で、その思想はカルトになり得るのです。
大多数の人がなんらかの理由でそれを信じなくなれば、科学だってカルトになり得ます。
単純に、今科学は大多数の人に受け入れられているし、合理性や知性を重視する今の社会において頭で納得しやすいから市民権を得ているというそれだけ(他のことだってそうです、「全子供は学校に行くべき」とか)。

なんと学界にもトレンドがあるらしい

科学が正しい、正しくないは置いておいて、大学院で研究をしている友人によるとなんと科学界の中でも時流に応じたトレンドがあるらしいです。
だれかその分野の偉い人が出した論文で、たとえばですよ、実際には逆なんですが「VRコンテンツによる脳への影響はない」という結果が出ると、その考えが学界全体の主流派になり、みんながこぞって「脳への影響はない」という結果を導き出そうとするらしいです。
そして、もし「脳への影響はある」という結果を導きたい論文が提出されようものなら、学会で袋叩きらしいです(その友人は主流派に反する論文を書いてしまったので、次の学会は質問攻めでつらそうだからあまり行きたくないとのこと)。
主流派が変わるごとに"宗旨替え"する研究者もいるらしいのですがなんだか面白い話ですよね。
こうなってくると、無理やりこじつけた実験結果や証拠を使って初めからその結果が出るように論文が作られたりするわけです。
ロボトミーだって当時は医学的知識に基づく定説として受け入れられていた。
トンデモ理論と変わらない……とは言いませんが、
ガリレオが天動説派に反して「地球が回っている!」って言ったら処刑されたりとか、科学だって十分ヤバい世界ですよ。
今なら、主流派に反したところで学会で質問攻めにあうとか界隈で干されるとか研究費用がでないとかくらいでしょうけど。
現代科学をみんなが受け入れている今の時代にそれはないでしょうが、いつかそうでない時代が来たらもしかすると、「地球平面説」をみんなが受け入れている未来もあるかもしれませんね。


いちおう念のために書いておきますが、私は別に「地球平面説」に賛同しているわけではありませんし、現代科学を信条として信じていないわけでもありません。単純に、今自分たちが信じている常識とされているものだって、時と場所が違えばそうじゃないかもしれないよという話をなんとなく前回に引き続きしたかっただけです。

*1:私の主張です

*2:どちらも私の元彼が被害受け済み